神戸・旧居留地の中心にある「大丸神戸店」。その9階にある「広東菜館 群愛飯店」は、地元でも長く愛される中華料理の名店です。昼時になると店の前には行列ができ、家族連れや買い物帰りの方、学生同士など、幅広い世代のお客様で賑わっています。店内に足を踏み入れると、活気のある中にも落ち着いた雰囲気が漂い、スタッフの方々のきびきびとした接客が印象的でした。

今回はランチタイムに訪れました。席に着くと、テーブルには温かいお茶がすぐに運ばれ、そのおもてなしの心地よさにほっとします。メニューには定番の酢豚や海老のチリソース、焼きそば、点心など、どれも魅力的な料理が並んでおり、選ぶのに少し迷ってしまうほどでした。

料理が運ばれてくると、まずその香りに食欲をそそられます。どの一品も丁寧に作られていて、素材の旨みがしっかりと生かされています。特に印象的だったのは、炒め物の絶妙な火加減。シャキッとした野菜の歯ごたえと、香ばしい香りが広がり、思わず食べる手が止まらなくなりました。スープも優しい味わいで、塩加減がほどよく、体にすっと馴染むような味です。気づけば会話をする間もなく、食べる速度が上がってしまうほど、どれも箸が進む味でした。

群愛飯店は、昭和の時代から創業50余年、神戸で愛され続けてきた老舗です。長年培われた確かな味と安定したクオリティが、多くの人を惹きつけているのだと実感しました。人気店にはやはりそれだけの理由があります。気取らず、それでいてしっかりと満足できる一皿一皿に、店の誠実さが感じられます。

大学生の方には、友人とのランチやちょっとしたご褒美の食事にぴったりです。親御さん世代の方には、買い物の合間に立ち寄る安心感と、どこか懐かしい味わいが心地よいと思います。神戸の街を歩いた後に、ほっとできるおいしい時間を過ごせる場所としておすすめです。

食後には、丁寧に淹れられた中国茶が供され、心も体もすっかり満たされました。華やかでいて、どこか家庭的な温かさを感じる広東料理の魅力を、改めて実感できる一軒でした。